相続法改正⑥

第6相続人以外の者の貢献を考慮するための方策(特別の寄与) 

特別の寄与制度
相続人以外の者の貢献を考慮するために創設された制度です。

現行民法では、寄与分が認められるのは相続人のみで、被相続人である義理の父を介護した長男の妻(嫁)の貢献は、長男の履行補助者として、同居の親族の扶養義務の範囲を超えて相続財産の維持に貢献したと評価することができる時に限られ、実際の認定には困難を伴うことが多くありました。
上記のような問題に対処するため、改正民法1050条では、相続人以外の者でも「被相続人の親族」であれば、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした場合には、その寄与に応じた額の金銭の支払請求を認めることにしました。

要件
・被相続人の親族
・無償で療養看護その他の労務の提供
・被相続人の財産の維持または増加
・被相続人が遺言に反対の意思を表示していても支払い請求可能

特別寄与料額の限度
・相続開始時の財産の価格から遺贈の価格を控除した残額を限度
→被相続人が相続財産の分配方法を全て遺言で指定しておけば、特別寄与者の金銭支払請求の余地なし

各共同相続人の負担額=特別寄与料の額×当該共同相続人の相続分

 

なお、遺産分割協議については、現行法どおり相続人だけで行うこととされており、相続人ではない特別寄与者は遺産分割協議に参加できません。
特別寄与者には、あくまで相続人に対する特別寄与料の請求権のみが認められています。
特別寄与料の金額は、請求者と相続人との協議にて決定されますが、もし協議が整わないとき、または協議ができないときは、相続が開始したこと及び相続人を知った時から6ヶ月または相続開始の時から1年以内に限り、家庭裁判所に審判の申し立てを行うことができます。

 

 

以上で、相続法改正に関しては終わります。

覚書のような部分もあり、わかりにくい箇所も多々あったと思われますが、民法は、私たちの生活にいちばん密接に関連してくる法律といえます。

必要な場面で、必要な法律を使えるように、継続して学んでいきたいと思います。