事務所ブログ

使い方間違ってない?その権利

会社法人2021-07-02 (Fri)

 

 

6月は株主総会の季節です。

各社から定時株主総会招集通知が届きます。

その中で目を引いたのが、「株主提案」による議案です。

株主提案とは、文字通り株主が会社に株主総会で決議することを請求した議案のことです。

 

株主提案権は議題提案権、議案提出権、議案要領通知請求権からなります。

会社法の303条から305条までに条文があります。

これらの権利は株主が経営に参加する権利である共益権のひとつです。

 

すべての株主がこの権利を行使できるのではなく一定の要件があります。

 

取締役会設置会社においては、

・総株主の議決権の100分の1以上の議決権

・または300個以上の議決権を

・6か月前から引き続き有する株主

に限られます。

※①②に関しては定款で緩和可能。

二人以上の議決権を合算して要件も満たす場合も可能。

※公開会社でない取締役会設置会社は③の要件不要。

 

株主提案権は株主の権利として認められていますが、その権利行使が濫用とも言える場合には、対応する会社には膨大なコスト(手間、費用)が掛かります。

 

 

以下、一株主としての個人の感想です。

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今回株主提案による議案を目にしたのは3社です。

 

そのうち2社は定款の一部変更の件です。

 

詳細は割愛しますが、それぞれ

・経営上の最重要な契約等の内容の開示

・事業戦略を記載した計画の策定及び開示

を求めるものです。

 

特に1社は、経営が安定した企業で、かつ、高配当で人気がありましたが、国外逃亡した某CEOの事件のため、今や株価は半減、無配当となっています。株主が経営の透明性を求める点も理解ができます。

 

2社とも株主の主張はわかるけれど、それが果たして定款に記載する事項か否かといわれるとそうではないと感じました。

取締役会の意見も、ともに反対と明記されています。

 

問題は残り1社です。

 

株主提案にかかる議案が6個もあります。

そのうち2つは上記の2社と似通った内容でしたが、残り4つのうち3つが会社の経営にどのような意味や関連性があるのかと首をかしげてしまうものでした。

 

詳細は差し控えますが、定款一部変更の件として次の条文を加えることを要求しています。

 

  • 当社役員および従業員は、親権争いを有利にするために、子の連れ去りをしてはならない。

 

  • 当社に、以下の内部告発窓口を置く。

(このあとに、おそらく提案者ご本人のものであろう住所氏名が明記されています)

 

それぞれ理由も書かれていますが、こじつけというかなんというか。

内部告発窓口を置くという発想自体は悪くないと思いますが、その窓口がなぜ個人株主なのか。

 

そしてもう1つ。

 

・取締役選任の件として個人名が出されています。

 

仮にA氏とします。

その選任の理由として、

「Aは、株式会社B(実在する会社名が記載)の取締役として、利益供与を告発した講師を実質的に解雇して総会屋の便宜を図るなど、清濁併せ持つ器の大きさがある。同社では、問題行動がおおいが、コンプライアンスのしっかりした当社であれば、実力を発揮できるであろう。」とあります。

 

提案の内容・理由はそれぞれ株主から提出された書面に記載された原文のまま記載されていますので、A氏を晒し者にするのが目的ではと思えます。

 

もちろん会社側は、取締役会は本議案に反対いたしますと赤い太字で記載されており、個別具体的な事案については、当社は一切認識しておりませんと追記されています。

 

 

提案者と思われる方は、ほかの会社でも株主代表訴訟を本人訴訟で提起しているようです。

このような内容の株主提案についても会社側は無視するわけにはいかず、議案として掲載し、それに対する会社側の取り組みや見解を図や文章で掲載しています。その記載が、ときには数ページにも渡ります。

これら文案や図の作成、印刷、そして、定時株主総会でこれらの議案に対しても時間が割かれるわけです。そのコストたるや。

自益権のみが目的の株主としては、この労力を配当にまわしてくれと感じます・・・

 

 

株主提案権を使えば、自らコストを支払わずとも自分の言いたいことが世に出るわけです。

この権利、本来の制度趣旨から外れて、都合よく使われていると感じるのは私だけでしょうか。

 

たまたまこの会社であっただけで、この方は、議決権の要件さえ満たせばどこの会社にも同じような内容で株主提案を装った自己表現をしていくのではないでしょうか。

 

権利の濫用防止のため、議案の数や過去に一定数の賛同を得られなかった議案につきに再提案の制限が設けられてはいますが、果たしてじゅうぶんと言えるのか疑問です。

 

また、どんな人物が株主になるかを会社側からは管理できない公開会社の危険性も感じました。

 

 

 

 

 

 

 

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