シャープのマスクから考える会社の事業目的

新型コロナウィルスの影響でマスク不足が続いています。

そんな中、シャープが製造したマスクに応募が殺到し、抽選販売となったというニュースが流れていました。

「シャープといえば家電。マスクのイメージはないけれど、マスクの製造販売は会社の目的として定款に記載はあるのか?」との疑問が生じました。

 

「定款」とは、会社における憲法のようなものです。

「目的」とは、その会社がどのような事業を行って収益を上げていくかを定めたものです。

会社は、「目的」として定めた事業以外はしてはいけないことになっています。

そして「目的」は、定款の絶対的記載事項であり登記事項でもあります。

 

 

一度考え始めたら気になってしまい「シャープの目的を確認したい!」と思いましたが、自宅からは会社のインターネット謄本が取得できません。

しかし、金融庁のホームページから、有価証券報告書の添付書類の一部として提出された定款を確認することができました。

以下に定款の目的部分のみ抜粋して記載します。

※125期(2018.4.1~2019.3.31)のものです。これ以降に定款変更があるかもしれません。

 

(目 的)

第 3 条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。

1 .通信機械器具の製造及び販売

2 .電気機械器具の製造及び販売

3 .電子応用機械器具の製造及び販売

4 .医療機械器具の製造及び販売

5 .計量機械器具の製造及び販売

6 .空調・厨房等ビル、住宅関連設備機器の製造及び販売

7 .その他機械器具の製造及び販売

8 .液晶表示装置その他の表示装置、半導体素子、太陽電池その他前各号の各種機械器具に付帯関連する装置又は部品の製造及び販売

9 .前各号の機械器具等の設置又はその製造設備に関する工事及び一般建設工事の設計・施工並びに請負の業務

10.ソフトウェアの作成及び販売

11.前各号の各種機械器具、自動車、自動車用品等の販売、割賦購入斡旋、賃貸借及び輸出入業務並びに古物の売買

12.発電並びに電気の供給及び売買に関する業務

13.食品の製造、加工、輸出入及び販売

14.化学製品の製造及び販売

15.前各号に関連するエンジニアリング事業

16.電気通信事業並びに情報通信サービス、情報処理サービス及び情報提供サービス業務

17.信用保証、金銭の貸付及びファクタリング業務

18.生命保険の募集及び損害保険代理業務

19.金融商品取引に関する業務

20.一般旅行業務

21.労働者派遣業務

22.前各号に付帯関連する一切の事業及び業務

 

上記のなかでマスクの製造販売を可能とする目的はどれか考えますと・・・

 

「4 .医療機械器具の製造及び販売」

が雰囲気としては近いでしょうか。しかし、今回販売されたマスクは、不織布で作られた家庭用であって医療用ではないし、機械器具でもないのですが・・・

 

「14.化学製品の製造及び販売」

はどうでしょう。不織布のマスクは化学製品といえるのでしょうか。

不織布とは読んで字のごとく「織らない布」だそうですが・・・

 

「22.前各号に付帯関連する一切の事業及び業務」

これでカバーされる範囲がずいぶん広がりますが、付帯関連する事業であるかは疑問が残ります。

 

みなさんはどのようにお考えになりますか。

 

ちなみに事業目的の規定に違反しても罰則はありません。

 

会社法上の規定はどうあれ、深刻なマスク不足に迅速に対応されたことは素晴らしいと思います!