事務所ブログ

非公開会社の自社株に関して

会社法人2020-11-18 (Wed)

 

非公開会社とは株式の譲渡に制限を設けている会社のことです。

その目的は、予期せぬ株主の会社への参入を阻止する点にあります。

中小企業のほとんどが非公開会社で、譲渡の承認機関は代表取締役としている会社が多く見られます。

 

譲渡制限があるといっても相続は譲渡には当てはまりません。

そのため非公開会社の代表取締役が死亡すると、代表取締役が保有していた株式は相続人に相続されることになります。

ここで会社に関して問題が生じる可能性が出てきます。

 

非公開会社の株式が流出したときに起こり得る3つの問題

  • 経営権に関して

自社株が1株でも分散していると

・株主代表訴訟を起こされる

・株主総会決議取り消し訴訟を起こされる

後継者の持ち株比率が3分の2未満だと

・株主総会の特別決議が必要な案件が後継者一人では決められない

後継者の持ち株比率が50%未満だと

・株主総会の普通決議が必要な案件が後継者一人では決められない

・後継者が取締役を解任されてしまう可能性が出てくる

 

つまり、事業承継がうまくいかず会社が乗っ取られる可能性が出てくるのです。

 

  • 会社資金流出に関して

・会社経営がうまくいっていると自社株の評価額が高騰している可能性があり、莫大な贈与税や相続性が発生する

・後継者や遺族が贈与税・相続税を支払えないと、会社が負担することのあり得る

ex,相続税を納めるために会社保有の不動産を売却し、その代金で遺族の自社株の一部を会社が買取り、その代金で遺族が相続税を納めるなどの方法を取らざるを得ない

・相続で自社株が分散すると、親族等から自社株の買い取り請求を受ける

 

これにより会社資金が流出し、資金繰りが悪化してしまいます。

 

  • 会社の情報流出について

・株主には決算書類等、株主名簿、株主総会議事録等、取締役会議事録、会計帳簿を閲覧する権利がある。

・監査役がいない会社や、監査役の権限が会計監査に限定されている場合には、取締役会の議事録の閲覧・謄写請求にも裁判所の許可が不要であり、会社内部の重要事項決定に関する情報が流出してしまう。

 

株主が権利を行使すると会社の決算状況や株主構成などの情報がオープンになり、取引先から値下げ交渉をされ商取引の条件悪化につながったり、株主が明らかになることにより反対派による議決権集めの恐れがあります。

 

上記のようなリスク回避のためにできることはあるのでしょうか?

 

定款の見直し 

株式に関して

相続人等に対する売り渡し請求権を確保する

一旦相続された株式を自己株式として承継人から強制的に買い取ることが可能となり、自社株の社外分散を防ぎます。

売主追加請求権を排除しておく

会社が自己株式を取得する場合に株主総会の特別決議が必要ですが、株主には自己も売主に追加される権利があります。

この権利を排除することで、特定の親族に限定した高い株価での買い取りが可能となります。

ただし、この定款変更決議には株主全員の同意が必要となります。

 

経営権について

取締役の員数に上限を設ける

代表取締役が議決権の過半数を確保していない場合、または将来過半数割れしそうな場合、取締役間の反対派の割合が増えると代表権を剥奪される可能性があるためです。

取締役の任期を長くしない

中小企業では10年に設定している会社がほとんどだと思います。

しかし、任期途中で取締役を解任する場合、任期満了までの役員報酬について損害賠償されるリスクがあるので注意が必要です。

取締役の解任条件を株主総会の特別決議対象にする

自分が解任されにくくなる半面、自分以外の取締役を解任しにくくなることにも注意が必要です。

監査役を置き、監査役の権限を会計監査に限定せずに業務監査もすることにする

議決権の代理行使をする場合の代理人を1名とし、議決権を有する株主に限定する

 

事業承継対策として

自社株について遺言を作成する

遺言がない場合は、遺産分割協議がまとまらず自社株が分散したり、買い取り請求により会社財産が流出したりする恐れがあります。

この場合でも遺留分に注意する必要があり、後継者以外の相続人にきちんと了解を得ておくことも大切です。

 

 

以上の対策ですべてをカバーできるわけではなく、すべての会社に当てはまるわけでもありません。

相続人との関係性や株主構成など各会社の状況に応じ、問題が生じる前に対策を講じていくことが重要となります。

 

株式会社の設立の際には、できるだけ機関設計を簡素化することに目が行きがちです。

しかし、年月の経過とともに会社や代表者を取りまく個々の事情は変わっていくことでしょう。

その時々で事業承継等の問題も視野に入れつつ的確な提案ができたらよいと思います。

司法書士は登記に関する依頼が業務の中心ですが、直接登記とは関係のない周辺知識を学ぶことで、経営判断に寄与できる機会があるはずです。

 

 

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