泉佐野市が総務大臣に対して、ふるさと納税の対象除外を取り消すよう求めた裁判で、
6月30日、最高裁は除外取り消しを認め、泉佐野市の逆転勝訴の判決を言い渡しました。
泉佐野市にふるさと納税をしたことがある一消費者として、
国と市の争いの行方は気になっていました。
国による後出しでの規制は権力濫用と思われますが、
市の現状が、国が意図した本来のふるさと納税の目的から逸脱していたのも確かでした。
そのような状況でどのような判断が下されるのかと。
裁判の最大の争点は、法規制「前」の過去の寄付金の集め方を審査して、
対象から外したことが妥当かどうかです。
判決では、過去の実績にさかのぼった審査で
市を制度から除外した国の対応を違法と断じた一方、
市が返礼品にアマゾンギフト券を上乗せするなどしたことについては
「寄付金集めをエスカレートさせ、社会通念上の節度を欠いた」と指摘しました。
一市町村が国相手の訴訟に最高裁で逆転勝訴したことは 、
行政の在り方を司法が審査し違法と判断したという意味において、
三権分立が機能しているなと感じました。
今回の判決は、国の対応を「違法なものだ」と結論付けており、市側が勝訴しましたが、
そのやり方については、法律のうえでは問題がないが節度を欠いていると指摘したほか、
裁判官の補足意見で「眉をひそめざるを得ない」とまで非難しています。
要するに、ルール違反ではないが目に余ることも事実であるということです。
「節度」という言葉は曖昧で、どこまでなら許されるのかという明確な線引きがありません。
それゆえに、許されるか否かの一線、このぼんやりとしたボーダーラインを
意識できるかどうかは人として大切なポイントです。
身近でもボーダーラインを意識するようなことはあると思います。
例えば、バイキング形式の食事。
好きなものを好きなだけ取って食べてよいシステムです。
取る量について制限がないため、食べ切れるならどれだけ取ってもいいはずです。
しかし、一人で特定の料理を独占するかのような振る舞いは、
ほかの人への配慮を欠いていると言わざるをえません。
いくら追加の料理が出てくるとしても。
欲が絡むと知らず知らずのうちに人間性が垣間見えてきます。
マナー = 他人を不愉快にさせない気づかい を身につけているかどうかは、
人と人が関わっていくうえで重要です。
周囲への気配りを忘れず、眉をひそめられないようにしたいものです。